コルポ建築設計事務所

Garden

元木の家 外構写真

いつも外構をお願いしているランドスケープアーキテクト 工藤まいさんより写真とテキストが届きました。ぜひ、ご一読いただければと思います。
 
 
 

 
元木の家は2020年に建築、外構が竣工し、去る2024年6月14日に剪定管理と写真撮影を行いました。元木の家は、約280m2 の敷地に建つ木造2 階建て住宅になります。大通りから一本入った住宅街に位置しており、近隣には公園、学校、大型食料品店があり、とても便利な立地です。
施主様は30 代の若いご夫妻。小さいお子様が3 人いらっしゃる子育て真っ最中のご家族です。
 

 
アプローチを進むと、茂った数種の高木が玄関まで誘引してくれます。
白い壁とのコントラストで、より植栽の迫力を感じます。
 

 
元木の家は、ご主人の実家を建て替えた住宅になります。2020 年2 月、解体前の敷地を見に行きま
した。
 
施主様と庭のお打ち合わせ時に、
「既存の庭は毎年、植木屋さんに庭の剪定管理を依頼していた」
「ご主人のお母様が、ご主人の大学合格祈願としてクリスマスローズを庭に植えたので、そのまま残して頂きたい」
等のお話から施主様にとって沢山の思い出がある場所だと認識しました。
 
建築家の石山さんが建築の配置を大きく変更せず、既存の庭もまるごと残して頂いた点もそのような背景を組みとってプランニングされたこともわかりました。
 

 

 
建築引き渡し後の既存の庭です。
正面から見た庭の印象は、植栽のボリュームがそれほど多くはないように感じますが、東側から西側にかけ延長22m もの植栽帯があります。
 

 
アオキ、サザンカ、ツツジ類、アジサイ、ムスカリ、どの植物も生育状態が良く、根鉢もしっかり大きく丈夫で、長い年月をかけて大事に育てられた様子がわかります。
 
これからの庭は
・小さなお子様がいらっしゃるため、あるきやすい舗装
・お子様が楽しめる庭
・リビング窓を目隠しする樹木
・昭和の雰囲気が漂う境界ブロック存在感を薄くする
・現代的でやわらかい庭
 
上記の新たなことに加え、既存の植栽をなるべく残しながら、単調にならない立体的な庭を目指しました。
 

 

 

 
既存の刈り込みされた和風のツツジは、剪定と新規の植栽を混ぜることで洒落た雰囲気に変わります。ご主人のお母様の下草類も移植をして残しました。
 

 
舗装は自然石を採用することで、季節や日々の天候、経年による色彩の変化も楽しむことができます。
 

 
元木の家は、過去も、これからの未来も、家族の蓄積された愛がより目に映りやすい場所になると、いいなと思い設計しました。小さなことでも、変化がある庭は家族のコミュニケーションのツールになります。そして、住みやすい美しい家は家族の絆をより深めてくれます。
「最近、忙しく手入れできないです」「今日、花が咲きました」「やっぱり冬は暖かい家はいいですね」「どの家を見ても我が家が一番!」お引き渡しから4年を過ぎても、奥様が楽しそうにお家の話をして下さることで、元木の家の皆様がとても幸せな様子が伝わってきました。

2024.10.21