グッドデザインカンパニー代表で、「くまもん」でも知られる水野学さんの本です。水野学さんの本の中で、この本がとても衝撃的でした。タイトル通りの、センスの話なのですが、どうもセンスというとキラリと光る「センス」というものがあるような感じがしますが、そういうことじゃないということを説明されている本です。
まさに、建築もいろんなセンスが必要とされる職業じゃないでしょうか。依頼いただいた方の予算配分もセンス次第ですし、要求される事柄のまとめ方もそうですし、もちろん、立ち上がってくる建物についてはまさにセンス次第で良くも悪くもなってきます。それが、知識からはじまるんだという認識は読むまでまったくありませんでした。
水野学さんは、センスとは誰にでも備わった身体能力と書いています。センスのよさはとはミステリアスなものでもないし、特別な人だけに備わった才能ではないと。それをどう育てているか、どう使っているか、どう磨いているかだいうことが書いてあります。
これを読んでから、住宅のことを考えると確かにセンスの悪い住宅に共通な事柄などが見えてきたりして、なるほどと実感することがありました。あいまいなセンスという言葉に対して、このような真摯な姿勢で取り組んでいるからこそ、いろいろなクリエーションがあるのだと思います。とても、論理的なセンスのお話がおもしろいので、ぜひ読んでみてください。