コルポ建築設計事務所

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高気密・高断熱の話5

 では、断熱性能の高い家に住む目的とはどんなことでしょうか?一番は寒くないということで、2番目ぐらいに省エネになるというお話がでてきそうですね。しかし、家の断熱性能と健康には深いかかわりがあることがわかっています。

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 上のグラフは循環器系、呼吸器系、神経系、血管系などさまざまな死因での季節間の変動を表したグラフです。これを見ると、明らかに寒さが増す季節での死亡割合が高くなっています。現代社会において健康とは「冬をいかに暖かく過ごすか」にかかっているということです。

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 もう一つのグラフは、2002年以降これまで合計で約3万5千人を対象に近畿大学 岩前篤教授が独自に行ってきた健康調査です。気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、関節炎、アレルギー性鼻炎など15の諸症状について、引っ越し後の変化を尋ねたこの調査では、大半の症状に明らかな改善が見られます。特に省エネ等級4以上など、より断熱性の高い住宅へ引っ越した人ほど改善率が高くなっています。
 このように、しかるべき断熱性能の高い住宅に住むことにより、住宅内の温度変化がなくなるので、いろいろな病気の原因が取り払われ、一人年間約1万円の医療費の削減につながるという研究結果もあります。さらにこれに、住宅の高断熱化(すなわち省エネ化)による燃料費の削減分を含めると、実質的な節約金額はこれを大きく上回ります。

 

 つまり、予算内でできるだけ断熱性能をあげたほうが、家族の健康にも、暖冷房の燃料費削減にもつながるということになるのです。そういうことが理解できれば、家の断熱性能をできるだけあげたいとどなたも考えるのではないでしょうか。『高気密・高断熱』というのは、こういうことをめざすことだったんですね。

 

※かなりざっくりとまとめて書いているため、もっと詳しく知りたい方はこちらの近畿大学 岩前篤教授のコラムをお読みいただければと思います。

2014.12.05