先日、新建ハウジングに載っていたアンケート。ハイアス・アンド・カンパニーが実施した、2年以内に注文住宅購入を検討する20〜30代の309人を対象に「建築家と建てる家」に関する意識調査の結果です。これを見て、以前から漠然と考えていたことがはっきりしたように感じました。
上の4項目から8項目までの理由ですが、総じて面倒と書かれているのですが、これが今の住宅をとりまく状況を物語っているように感じられました。住宅というのは、一生にそう何度も建てられるものではありません。一生に一度という人のほうが多いと、私は思っております。その一生に一度の経験を面倒だと思っている人の多さに、とても驚きました。自分が建てた後に、ずっと過ごすであろう住宅を考えることが面倒だと思っている人がこれだけいるということなんですね。
その結果どうなっているかというと、ハウスメーカーや工務店などのベースが決まっているものを選んで購入している方が、大半に上る状況になっています。70.9%が「建築家と建てる家に憧れたことはある」と答えたものの、実際に「建築家」に依頼している方は12.0%なんだとか。自分がこれから住まう家を考えるのが面倒で、カタログから商品を選ぶかのように家を消費している方が大半なんですね。それは、新興住宅地を見ればわかりますが、本当にそういうカタログから出てきたようなお家ばかりになっています。
多くの人々があまりにも自分の生活を振り返ったり、どう暮らしたいかと考えずに、住宅を購入している状況だということではないでしょうか。私たちが家を設計する時は、いろいろな条件を考えながら設計します。ですが、これはプロとして当然のこと。ですが、依頼していただく住い手になる方にも、いろいろ聞いたり、考えていただいたり、そういうキャッチボールを経て、設計を進めることになります。ですので、上のアンケートで言っているような面倒なことが多くなることになります。ですが、それを面倒くさいと言われてしまうと、設計が進まないということになってしまいます。
なにか、漠然と住宅を計画している人が、あまりにも考えなくなってきてるのではないかと感じていましたが、このアンケート結果をみて実際にそういう世の中になっているんだと思いました。依頼の仕方がわからないというのも、面倒くさいの一種ではないかと感じています。長くなってしまったので、設計料については別の機会に。