

独立以来、私は一貫して「しっかりとした断熱・気密性能を持つ住宅」を設計し、つくり続けてきました。実際に完成した空間に身を置くたびに、確信することがあります。それは、「冬でも寒さを感じない暮らし」は、決して贅沢ではなく、確かな技術で実現できる日常であるということです。
今の時代、住まいの性能は「車の燃費」と同じように、建てる前に緻密に計算することができます。 「どれくらいの断熱材を使えば、冬の光熱費がいくらになり、室温が何度に保たれるか」。 感性や経験則だけでなく、数値に基づいた根拠のある計画ができるようになったのは、建築における素晴らしい進歩です。
しかし、その一方で、私たちは長い間「断熱も気密もままならない空間」で過ごすことを余儀なくされてきました。
・朝、布団から出るのが辛い。
・廊下やトイレに行くと体が強張る。
・エアコンを回しても足元だけが冷える。
こうした経験を積み重ねるうちに、いつの間にか「冬は寒くて当たり前」という常識が、私たちの体に深く植え付けられてしまっているように感じます。事実、山形の厳しい冬において、健康や快適さを守るには不十分な建物が、まだまだ多いのが現状です。私は、この「仕方のないこと」として諦められている常識を、変えていきたいと考えています。
「冬こそ、一番薄着でリラックスできる場所であってほしい。」
「家のどこにいても、身体が緊張から解放される健やかさを届けたい。」
高性能な住宅や建物が増えることは、単なる省エネではありません。そこに住む人、働く人の「人生の質」を底上げすることだと信じています。
これからも、数値に裏打ちされた確かな設計と、身体で感じる本当の心地よさを追求し、冬があたたかいことが「新しい当たり前」になる未来をつくっていきます。