コルポ建築設計事務所

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結露の季節(表面結露)

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この写真は、我が家の今朝の窓の写真です。この現象を目にしたことがない方はおそらくいないと思われます。そうです、結露です。窓ガラスやサッシ、壁などの表面に発生する結露のことを表面結露と呼んでいます。
 
こうした表面結露が起こる原因としては、①室内の湿度②外気の温度③断熱性が関係しています。我が家のような開口部に見られる結露は、ガラスやサッシの断熱性能が低いため、温度が低くなりやすい場所です。そこに触れた空気が露点に達すると結露が生じるという具合です。
 
またよくあるのが、以下の図のようなケースではないでしょうか。
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リビングは暖房をしているのであたたかいのですが、北側のあまり使用しない納戸などの内装表面で結露が起きるパターンです。これも、外気温の低下に伴い、断熱性能が悪いと室内の表面温度が低くなり、露点に近づきやすくなってしまうために、結露が起きやすくなります。押入内部の結露等も基本的には、同じ考え方になります。
 
さらに、結露も現象としてはやっかいなのですが、結露はカビやダニの発生に深く関わっています。湿度が高くなると、当然カビが生えやすくなります。そのカビを餌としてダニの発生も増えていきます。これらの胞子や糞が人体に吸い込まれて、喘息やアトピーなどのアレルギーを引き起こす大きな要因となっているのです。なので、たかが結露と思いがちですが、なかなかあなどれないそんな季節なんです。
 
結露を防ぐには、断熱性の高い開口部にしたり、前室暖房によって各部屋の温度差を少なく抑えたりと、方法はあるのですが、あとから工事するのは非常に大変なので、最初からきちんと計画することが必要になります。結露を抑えることは、カビやダニの発生も抑えることになりますから、体の健康にもつながってきますね。

2014.12.23

付加断熱とは

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先日の研修会では、鶴岡・酒田を中心に家づくりをされているコスモホームさんの現場を見学させていただきました。見せていただいた現場は、壁の断熱材が250mmある高性能な住宅で、Q値も1.091W/㎡kという立派な仕様。このぐらいの仕様になると、柱の間にだけ断熱材を入れただけでは足りないので、さらに外側にも断熱材を入れるようになります。それが写真にある赤い色の断熱材ですね。こういう断熱材のことを付加断熱と呼んでいます。さらに付け加えた断熱材ということですね。こうすることで、家が厚着した状態になるのでよりあたたかい家になるという単純な仕組みです。
 
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上の写真は、付加断熱の下地を止めているビスの写真です。付加断熱の厚みが100~150mmぐらいになってくると、やはりこういう長いビスを使わないと止められないわけですね。私もこのビスを見るのは初めてでしたが、東日本パワーファスニング株式会社のパネリードⅡ+というビスだとおしえていただきました。ビスの長さも断熱材の厚みに合せて、80~200mmの長さがあり、付加断熱をする際は重要なビスになってきます。細かいところですが、こういう部分にどんなビスを使うかというのも大事なところです。

2014.12.22

エネルギー計算ソフトQPEX

最高気温が0℃ぐらいになってくると、あたたかい家に住みたいなぁと考えるようになりますね。10年前に建てた自分の家は昔の考え方でつくっているので、冬、寒い家の仕様なんです。お恥ずかしい限りですが。
 
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そこで、あたたかい家をつくるために必要になるのが、断熱性能などを計算するエネルギー計算ソフトです。私が使用しているのは、特定非営利活動法人新木造住宅技術研究協議会(新住協)の「QPEX」というソフトです。このソフトを使いながら、ああでもないこうでもないといろいろと設計を進めていくことになります。難しいことはあれなので、こういうソフトを使って計算をするんだということをご理解いただければと思います。
 
その計算の結果として、断熱性能及び省エネ性能計算書というのを最終的には提出させていただいています。リンク先はCasa Montañaの断熱性能及び省エネ性能計算書になります。参考にご覧になってみてください。
こういう細かい計算だったり、図面だったりで、あたたかいおうちはつくられていくことになります。

2014.12.19

住宅の構造計算

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 当事務所では、一般的な木造2階建て住宅の場合でも構造計算によって、安全性を確認しております。
 
 なぜそんなことをわざわざ書くのかとお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、四号建築と呼ばれる一般的な木造2階建て住宅などの建物は、建築確認申請で構造計算が義務づけられておりません。ですから、構造計算がされない場合がありますが、一般の方々にはそういったことが、あまり知られていないかと思います。
 耐震性などの安全性は、きちんと構造計算することによって確認できるので、当事務所では住宅の場合でも構造計算を行うことにしております。
 
 画像はCasa Montañaの構造計算ソフトによる軸組図です。

2014.12.09

高気密・高断熱の話5

 では、断熱性能の高い家に住む目的とはどんなことでしょうか?一番は寒くないということで、2番目ぐらいに省エネになるというお話がでてきそうですね。しかし、家の断熱性能と健康には深いかかわりがあることがわかっています。

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 上のグラフは循環器系、呼吸器系、神経系、血管系などさまざまな死因での季節間の変動を表したグラフです。これを見ると、明らかに寒さが増す季節での死亡割合が高くなっています。現代社会において健康とは「冬をいかに暖かく過ごすか」にかかっているということです。

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 もう一つのグラフは、2002年以降これまで合計で約3万5千人を対象に近畿大学 岩前篤教授が独自に行ってきた健康調査です。気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、関節炎、アレルギー性鼻炎など15の諸症状について、引っ越し後の変化を尋ねたこの調査では、大半の症状に明らかな改善が見られます。特に省エネ等級4以上など、より断熱性の高い住宅へ引っ越した人ほど改善率が高くなっています。
 このように、しかるべき断熱性能の高い住宅に住むことにより、住宅内の温度変化がなくなるので、いろいろな病気の原因が取り払われ、一人年間約1万円の医療費の削減につながるという研究結果もあります。さらにこれに、住宅の高断熱化(すなわち省エネ化)による燃料費の削減分を含めると、実質的な節約金額はこれを大きく上回ります。

 

 つまり、予算内でできるだけ断熱性能をあげたほうが、家族の健康にも、暖冷房の燃料費削減にもつながるということになるのです。そういうことが理解できれば、家の断熱性能をできるだけあげたいとどなたも考えるのではないでしょうか。『高気密・高断熱』というのは、こういうことをめざすことだったんですね。

 

※かなりざっくりとまとめて書いているため、もっと詳しく知りたい方はこちらの近畿大学 岩前篤教授のコラムをお読みいただければと思います。

2014.12.05