コルポ建築設計事務所

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自然素材とは?天井編

葦ベニヤ
 
天井の場合は、基本的には壁編と同じように考えていただいてよいと思います。ただ、天井で使いたい素材もありますので、それを紹介させていただければと思います。写真は葦ベニヤという素材の天井材になります。あまり、聞きなれない言葉かもしれませんが、葦はあのイネ科ヨシ属の多年草の葦になります。「アシ」ともいうらしいのですが、「悪し」に通じるのを嫌って「ヨシ」と言われるようになったようです。
 
この素材は、僕が住宅を建てようとしていた10年程前に、建築家の横内敏人さんが手がけた住宅を雑誌で見かけてから、とても魅力を感じ使ってみたいと思った素材でした。普通は、和風建築の天井材として使う素材ですが、住宅のリビングなどに使われている写真をみると、和風すぎることなく、和風の雰囲気も感じられる空間が広がっているのが、とても魅力的に感じました。ですので、どんな感じになるのか、自分の家でも試してみたという次第です。寝室の天井に使ってみたのですが、なかなかの雰囲気です。ただ、葦に虫がわかないのか、いまだに少し疑問になりますが、たぶん大丈夫だと確信を得たような時期になりました。10年経ちますが、虫は降ってきません。この自然素材シリーズを考えていたら、まさしくこの天井材も自然素材だなと思い、こうして書いている次第です。
 
床・壁・天井と自然素材を見てきましたが、もっと部位ごとに考えられる自然素材はまだまだたくさんありますので、今後少しずつ不定期で書いていきたいと思います。住宅を考えるというのは、すごくたくさんの選択肢から、絞っていく作業でもあるんですよね。素材をいろいろ見ていて、そんなことも感じました。
 

2015.01.28

自然素材とは?壁編

壁
 
壁の場合も、無垢の板で仕上げられていれば、文句なしに自然素材を使っていると言えますね。また、先日紹介したJパネルを使用した壁であれば、自然素材でありながら構造の耐力壁としての機能も付加されることになります。ただ、床も壁も天井も無垢の板というのは、ちょっと木で囲まれすぎた印象になりますが。
 
一方、自然素材の仕上げ材については、多くの選択肢があります。昔から使われてきた素材としては、漆喰・聚楽壁・和紙などがあげられます。また、珪藻土の壁も最近ではよく見られるようになりました。わが家の壁も珪藻土の壁ですが、ひとつ珪藻土で気になるところが。それは、汚れた場合の処理がなかなか難しいところです。雑巾などで拭いてすぐ取れればいいのですが、残ってしまう確率も高く、そうなるとずっと汚れとして残ってしまいます。消すためには塗り直すしかなくなってしまうので、10年も経つとなかなか汚れも目立ってくるという、珪藻土の場合はそんな生活した実感も参考にしていただければと思います。
 
そして、一番多いと思われる壁紙の自然素材と言われるものはどんなものがあるでしょうか。ケナフというアフリカや東南アジアの亜熱帯で自生する植物を原料とする壁紙やウッドチップを利用した壁紙などがあります。中でも、オガファーザーやルナファーザーは、ウッドチップや再生紙からできている塗装用下地の壁紙になります。その壁紙を張った後で、ペンキで壁・天井を塗ります。この塗装は7~8回程可能で、長期間にわたり張り替える事なく使用できます。そのため、従来の壁紙のように張り替えによるゴミの発生が無く、長期間にわたり廃棄物の減量に貢献します。汚れた際も塗り替えることで手軽にキレイにもなり、模様替えもできるので、長く住み続けることを考えると、このクロスはとても優れたクロスではないでしょうか。(写真は建具に張ったルナファーザーです。)
 

2015.01.27

自然素材とは?床編

フローリング
 
よく耳にする自然素材という言葉ですが、どういうものが自然素材なのか、あらためて考えてみるシリーズの床編です。興味があれば、お付き合いください。
 
床材は自然素材=無垢フローリングという図式が成り立っていると思うので、非常にわかりやすいと思います。では、その無垢フローリングではない床材にはどういうものがあるのでしょうか。
 
まずは、同じフローリングですが、無垢ではない複合フローリングというものがあります。複合フローリングは、合板の表面に化粧材を張ったものをいいます。その張った化粧材も、薄く削った天然木使ったものと、樹脂化粧シートなどの特殊な加工の化粧材を張ったタイプに分けることができます。
 
ここで、僕が感じたのは、天然木を使った複合フローリングは自然素材ではないのか?ということなんです。無垢材ほど厚くはないですが、天然の木を張ったものなら、自然素材と呼んでもいいような気もします。でも、この複合フローリングが自然素材と呼ばれないのは、その張り付ける際の接着剤に原因があるようです。シックハウス症候群と関連があるとされたホルムアルデヒドを放出する接着剤の使用などがあったため、自然素材とは言えないものになってしまいました。ですが、昔と違って現在はそういった接着剤も使われてないので、よいような気もしますが接着剤を使っている時点で失格となっている現状なんだと思います。
 
Jパネル
 
では、Jパネルという、乾燥させた杉板を繊維方向にくっつけた三層構造にした杉パネルがあるのですが、これは自然素材でしょうか。単なるムク材とは違い、乾燥による狂いが少なく強度にも優れています。接着剤も無色で、ホルムアルデヒドを含まない水性のものを使用しており、住宅にも使用できる安全な材料です。しかも、間伐を行った杉材を有効利用しているので、いいコトずくめな材料です。僕は、これ自然素材にいれてあげたいです。接着剤も使ってますが、これはよいような気がします。
 
少し考えると自然素材と境界ギリギリのラインも見えてきました。最終的に何にするかは、いろいろな条件で決定することになると思います。ですが、それぞれ一長一短あると思うので、理解して使用していただくことが、住み続けていく時に大切なことだと思います。
 

2015.01.26

太陽光の利用方法

太陽光
 
太陽の光のエネルギーを熱に換えたり、電気に換えたりする技術が発達し、太陽熱温水器と太陽光発電が登場しました。再生可能エネルギーの重要性が説かれ始め、どんどん普及している現状です。そんな中、どうも太陽光発電は順調に普及していますが、太陽熱温水器は普及しているとは、言いがたいような気がします。
 
エネルギーの変換効率を考えると、太陽熱が40%なのに対して、太陽光は10%程度です。効率から考えると、太陽熱に分があるようですが、なぜあまり普及していないのでしょうか。
 
そう思って僕が考えている理由があります。それは、普及したい、売りたい人たちがあまりいないということです。太陽光については、電気メーカー各社を始め、ハウスメーカーもこぞって太陽光パネルを載せた住宅を売りだしています。ところが太陽熱に関しては、メーカー数も限られていますし、ハウスメーカーでも載せた住宅はほとんどありません。その違いが普及率の違いにつながっているような気がしています。太陽熱が普及すると、給湯に要する灯油やガスの使用量が減ってしまうので、あまり積極的に普及したい人はいないのだと思います。
 
太陽光については、今後も買い取りに関するいろいろな条件が出てくることが予想されます。そうであれば、太陽熱温水器にして、太陽熱であたためられたお湯を使うほうが、太陽の光を直接感じれるのでよいと思うのですが、少数派なのでしょうか。断熱にも、コストパフォーマンスに見合った順序があるように、太陽光の利用にも順番があり、私は太陽熱、太陽光の順番でよいと考えています。
 

2015.01.25

気になる省エネ計算ソフト

 
省エネ計算ソフト
 
この温熱・省エネ統合計算ソフトが気になっています。Energy ZOOという名前のソフトで、上の7つの計算機能ににそれぞれ動物が割り当てられている計算ソフト。開発監修を手がけられたのは、株式会社暮らしエネルギー研究所の野池政宏さんです。
 
なにが気になっているかというと、7番目のパッシブシュミレーターという機能です。これは、どんな機能かといいますと、評価したい部屋を設定して温熱環境のシュミレーションができるんです。例えば、今後1,2部屋だけ断熱の改修をするようなリフォームが増えてくると思うのですが、そういう場合にその部屋の仕様を入力することで、そのエリアにおける年間暖冷房負荷、年間一次エネルギー消費量、年間光熱費、室温変化グラフ等が表示できるらしいんです。家全体をシュミレーションできるソフトはあるのですが、この部屋ごとというのが今までなかったので、今後はこういう機能が役に立つのではないかと考えています。体験版のようなものがあれば試してみたいのですが、残念ながらないようでした。
 
詳しくはこちらのホームページにかいてありますので、同じように気になった方は、ぜひご覧になってみてください。
 

2015.01.22